NFT、ブロックチェーン技術と写真の保存性。
200年あまりの写真の歴史の中で、さまざまな種類のプロセスや材料が使われてきました。
モノクロ写真の保存は比較的安定していますが、カラー写真は退色するという問題もあります。
カラー写真を長期保存する目的で、フルオンチェーンNFTにするのはどうでしょうか。
物理的に何かを保管する必要がなく、どこにいても、ネットさえあればいつでもアクセスが可能です。
現時点では、データの大きさに制限があります。
各プロセス、メディアの保存期間
注:下記の保存年数は、保存条件にも左右され、得られた情報も曖昧なので、全くあてになりません。
NFT 退色しない、データ自体も消滅しないかも
NFT IPFS 誰かがサーバーをメンテナンスしている限り
NFT Arweave ≒200年 やや中央集権的
NFT fully on-chain ≒永久 イーサリアムチェーンが存在する限り
アナログ 退色するが、物理的に自然消滅はしにくい
5-20年 カラープリント
5-20年 カラーネガフィルム
60-100年 インクジェットプリント(顔料インク)
150年 コダクローム(外式)ポジフィルム
デジタル 退色はしないが、データ自体が消滅する可能性あり
3-5年 HDD
5-10年 SD カード
10-30年 CD
10-50年 LTOテープ
50年 MOディスク(光磁気ディスク)
1000年 M-DISC(Millennial Disc)
写真作品の耐久性
この作品は、デジタルカメラ、ネガ/ポジフィルムで撮影されました。
以下のメディアで保存されています。
オリジナルフィルム ネガ/ポジ
インクジェットプリント
LTOテープ
HDD
フルオンチェーンNFT
どのメディアが、より耐久性があるのでしょうか?
NFT以外は物理的に何かを保管し続ける必要があるので、ブロックチェーン上に分散されて保存されているフルオンチェーンNFTが最後まで残る可能性はありそうです。
私の作品はウェリントン、ニューヨーク、長野で保管されていますが、倉庫代、メンテナンス、バックアップ等を考えると退色するという問題以前に、データ自体がいつまで保存されるかは分かりません。
20年前に撮影されたデータのいくつかはMOディスクに入っていますが、今はドライブがないので、そこからデータを引き出すことはかなり面倒な作業です。
LTOテープは数十年保管できると言われていますが、将来データを引き出すことが、困難になるかもしれません。
テープドライブは規格が随時更新されるので、この10年ですでに3台買いかえています。
Epson 64 inch SureColor プリンター
現在、作品はこのプリンターでプリントしています。60年ほどの耐久性です。
UltraChrome Proインクは空気中の光やオゾンに分解されにくく、耐光性60年、耐オゾン性60年を実現。インクの特長そのままに、優れた保存性で出力を美しいまま長期間残すことができます。
https://www.epson.jp/products/largeprinter/scp20050/feature_1.htm
コダクローム
長期の保存ができ、発色もお気に入りのコダクロームですが、2009年に製造中止になってしまいました。
コダクロームの写真の耐久性は、暗くて涼しい安全な環境で保管すれば、100年以上もつと言われています。コダクロームフィルムに含まれる黄色い色素は最も安定性が低いとされ、この色素でさえ185年後に20%しか色素が失われません。
https://kodakdigitizing.com/blogs/news/how-long-do-kodachrome-slides-last
チベット文化圏のSpiti谷での撮影はコダクロームを使用しました。20年以上経った今もフィルム上で、きれいな色を保持しています。
Free Hawaii Photo
フォトグラファー / Cath Simardのプロジェクト。エディションなどの希少性はNFTで保持しつつ、高画質データを不特定多数に配ってしまうプロジェクト。多くの人によってデータが保管されているので、結果、長期で保存される可能性があります。
すでにNFTが売却されたので、現在、8126X10158 TIFの大きさのデータを誰でもダウンロードでき、自由に使用できます。
#FREEHAWAIIPHOTOwww.freehawaiiphoto.com
大きなデータのフルオンチェーンNFT
私のフルオンチェーンNFTのコントラクトを制作してくれたnawoo氏の記事。
こんなに大きなデータもオンチェーンに刻めるんですね。将来、もっと大きなデータを保存できるようになるかもしれません。
私もさらに大きなデータのイメージをフルオンチェーン化してみたいです。